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Columnコラム

2011.08.12なでしこをフィーバーで終わらせないために

 

ドイツW杯で初優勝した「なでしこジャパン(サッカー日本女子代表)」に国民栄誉賞が与えられた。
周知のように国民栄誉賞が団体に授与されるのは初めてのことだ。
震災後、沈滞ムード一色のこの国と国民に対し、
最後まで諦めないプレーを通じて、これ以上ないほどの勇気と希望を与えたことを考えれば受賞は必然だ。
「なでしこ」の面々と関係者には、心よりお祝い申し上げたい。

 

-だが、今回の受賞を単なるセレモニーで終わらせほしくない。

 

なでしこの活躍により、現在、女子サッカーには大きな注目が集まっている。
この絶好の機会を女子サッカーが継続的に発展する契機とすべきである。
そもそも日本の国内リーグである「なでしこリーグ」は男子のJリーグとは違い、プロリーグではない。
W杯で大活躍した澤穂希(INAC神戸)や宮間あや(岡山湯郷)など、
選手個人がクラブとプロ契約を交わしているケースもあるが、その数はわずか。
しかも代表の顔とも言える澤でさえ、推定年俸は360万円程度なのだ。
多くの選手はクラブのスポンサー企業などで働き、仕事を終えてから練習に参加している。

 

女子サッカーが置かれている環境を改善するには、
この「なでしこリーグ」を軸に収益を上げられるシステムを構築する必要がある。
その大きな柱のひとつになるのが入場料収入だ。

 

今回のなでしこフィーバーで、なでしこリーグの試合会場には多数の観客が詰めかけている。
リーグ再開初戦となった7月24日のINAC神戸対ジェフ千葉レディース戦では、
前身のLリーグ時代を含めて最多となる17812人が来場した。
さらに7月31日のINAC神戸対岡山湯郷戦は21236人、
6日のアルビレックス新潟レディース対INAC神戸戦は24546人と毎週、
最多入場者数が更新されている。
これだけ観客が増えれば、かなりの収入が得られたと思われるだろう。
だが、31日の試合は観戦無料試合であり、
シーズンを通してみても有料試合は72戦のうちの35試合しかない。
無料であればグッズ販売などを除いて、クラブの収入はゼロだ。
むしろ会場費や多数の観客を受け入れるための運営費といったコストのほうが高くつく。
澤が所属するINAC神戸は来季から全選手とプロ契約を交わし、主催試合もすべて有料化する方針だという。
しかし、上記の観客動員数を見てもわかるように、リーグの盛況が一極集中している面も否めない。
リーグ全体で共存共栄をはかりつつ、このフィーバーを安定したなでしこ人気につなげていく方法を今のうちに考えておきたい。

 

 


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