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Columnコラム

2015.04.20カープ女子を球界全体に

今季のプロ野球で、最も注目を集めている球団は、24年ぶりのリーグ制覇を狙う広島カープである。メジャーリーグから黒田博樹が復帰し、優勝への機運が高まっている。黒田が3戦目に登板した開幕カードの東京ヤクルト戦は連日3万人超えと大盛り上がりだった。

 

昨今のカープ人気を象徴しているのが、スタンドの一角を占める「カープ女子」だ。カープが16年ぶりにAクラス入りした一昨季あたりから、この言葉をよく目にするようになった。昨年は「ユーキャン新語・流行語大賞」の年間トップ10にも選ばれている。

 

野球とは縁もゆかりもなさそうな若き女性たちが、真っ赤なレプリカユニホームに身を包み、カープを応援するようになった理由は何か。テレビのインタビューを見ていると、「ユニホームがかわいい」「かっこいい選手が多い」「2軍時代から注目してきた選手が育って活躍する」「スタジアムの雰囲気がいい」などと理由はいろいろあるようだ。

 

日本ではメジャースポーツとして君臨するプロ野球だが、将来に向けて大きな課題に直面している。それは女性と子どもたちをいかにファンとして掘り起こすか。

 

ここにひとつのデータがある。昨秋、日本代表の侍ジャパンがメジャーリーグ選抜と対戦した日米野球の男女年齢別の視聴率だ。たとえば11月14日の第2戦(世帯視聴率7.3%)と、同日同時間帯に行われたサッカーの日本代表戦(対ホンジュラス、世帯視聴率15.5%)と比較すると視聴者層の違いが明らかだ。

 

50歳以上男性では野球7.9%、サッカー12.2%と4.3%差だが、女性に関しては野球3.1%、サッカー8.4%と5.3%もの開きが出る。4歳から12歳の子どもたちにいたっては野球1.6%、サッカー13.1%と大きく水を開けられた。

 

当然ながら、子どもたちの趣味、嗜好は両親の影響を受ける面が小さくない。この結果からは母親である女性のサッカー志向が、子どもたちの関心をサッカーに向かわせる一因になっているとも読み取れる。

 

その意味ではカープ女子の出現は、女性を野球に取り込む、ひとつの契機と言っていいかもしれない。現に球団では彼女たちにあやかろうと、観戦ツアー企画やグッズの開発に力を入れている。

 

これにならって、他球団でも女性ファンを球場に呼ぼうと、いろいろアイデアを練り始めた。たとえばオリックスでは「オリ姫」と呼ばれる女性ファンのために、2席分を広々と使える特別席を設けたり、ピンクの特別ユニホームをプレゼントする「オリ姫デー」を開催する。

 

首都圏の5球団も今季はタッグを組んで、「野球女子”倍増”プロジェクト」を立ち上げた。観戦経験のない女性を球場に招待したり、練習の見学会などを共同で行うという。

 

カープ女子に刺激を受けた格好とはいえ、こういった試みは球界の将来を考えても重要だ。今後は独身女性はもちろん、子ども連れの母親も、より観戦しやすい環境を整えてほしい。