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Columnコラム

2016.04.08スポーツを『心の糧』として減税の対象に

2016年度税制改正関連法が3月29日に成立し、来年4月予定の消費税率10%への引き上げに合わせて、軽減税率を導入することが決まった。

 

酒類と外食を除く食品全般が税率8%。週2回以上発行される定期購読の新聞も軽減税率の対象だ。では雑誌や書籍はどうなるのか。活字メディアで禄を食む者としては大変気になるニュースだ。

 

2015年12月15日付の朝日新聞に出版業界からのコメントが紹介されていた。

 

【「食が『身体の糧』であるのと同様に、書籍・雑誌・新聞などの活字文化は『心の糧』で、健全な民主社会を構成するための知的インフラとして必要不可欠だ」】

 

『心の糧』とは言い得て妙である。雑誌のカラーグラビアのヌードもそうかと質されるとちょっと苦しい気もするが、全般的にはその範囲内だろう。

 

しかし、心の糧は活字のみから得られるものではない。映画鑑賞や観劇、スポーツ観戦も含まれて然るべきだ。

 

そこで調べてみると高福祉高負担国家として知られるスウェーデンは、日本でいう消費税にあたる付加価値税の標準税率が25%であるのに対し、食料品は12%、スポーツ観戦や映画鑑賞は6%だという。食品よりも文化に対する税率が低いことが正しいとは言い切れはしないが、考えさせられるケースではある。

 

にもかかわらず、スポーツや映画・演劇業界から「我々の商品や作品にも軽減税率を」という声は、あまり聞こえてこない。

 

日本国の借金は1000兆円を超える。いよいよ2025年には団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になる。4人に1人が75歳以上という超高齢社会に突入するわけだから、社会保障費は膨らむ一方だ。これ以上、軽減税率の対象範囲を広げてしまうと、日本の財政はパンクしてしまう――。

 

それを重々、承知した上で言いたい。スポーツ業界も試合という商品を『心の糧』のメニューとして加えてもらう努力をしてもよかったのではないか。

 

なぜなら仕分けのまな板に載ることで、たとえば「この組織は興行優先でいいのか」「この競技団体は公共財としての資格を充たしているのか」といった議論を呼び起こすきっかけとなった可能性があるからだ。

 

それにより、この先、スポーツが果たすべき役割と進むべき方向性がより明確になっていたような気がしてならない