Loading...

Columnコラム

2012.03.31スポーツ界に一石投じたボート・武田

4月6日、埼玉県・戸田で注目のボートレースが行われる。
ボートといっても競艇ではない。
五輪種目の男子軽量級ダブルスカルの代表選考レースである。

 

-実はこのレース、一度は内定代表が出た選考をやり直すために実施される。

 

昨年11月の選考において代表から落選し、補漕(補欠)に回ったベテランの武田大作が
日本スポーツ仲裁機構(JSAA)に不服を申し立て、訴えが認められたのだ。
五輪に関係する代表選考に関して、選手側の主張が認められたのは史上初のケースだった。

 

武田はアトランタ五輪から連続出場を続ける日本ボート界の第一人者。
シドニー、アテネでは同種目で連続入賞を果たしている。
38歳になった今も現役を続けているのは、「まだ世界で戦える」との自信があるからだ。

 

「僕は世界で勝てなくなったら現役を辞めようと思ってやってきました。
でも、今なら、まだ勝てる。五輪に出ることには固執していません。
本当に強い選手が五輪に出てほしい。それが僕の希望です」

 

当初公表されていた選考方式であれば、武田は代表入りしていた。
ところが協会は”イレギュラー”が発生したとして、
異なるかたちでタイムを再計算し、別の若手を代表に選んだ。
代表の若返りを図るために結果を操作したと取られかねない選考だった。
JSAAが「著しく合理性を欠く結果を生じているといわざるを得ない」と指摘し、
内定を取り消したのは当然だろう。

 

-五輪が近づくたびに、代表選考を巡るゴタゴタは後を絶たない。

 

しかし、”タテ社会”の日本のスポーツ界では、
不満があっても選手側が泣き寝入りするケースが少なくなかった。
それだけに競技を代表するトップアスリートが声をあげ、その訴えが通ったことには意義がある。
「他のスポーツも含め、将来、こんなことが起きないよう、
選ばれた選手が納得して五輪に行って頑張れるようにしてほしい」と武田は主張していた。正論だろう。

 

現状、残念ながら日本の競技団体の約半数は、スポーツにまつわる紛争が発生した場合、
JSAAに仲裁を委ねる規定を定めていない。
今回の武田のケースも、ボート協会が仲裁に応じなければ申立が門前払いとなっていた。
各競技団体は国からの補助金を受けている。
それは元をたどれば我々の税金だ。
多くの国民がスポーツの価値を認め、サポートする機運を高めるためにも、
競技団体にはより一層の透明性と公平性が求められている。