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Columnコラム

2014.02.25ソチで示した多様性を東京へ

ソチ冬季五輪、日本勢は金1個を含む8個のメダルを獲得した。大会前、日本選手団の橋本聖子団長は金メダル5、総メダル10と、いずれも史上最多だった「長野五輪超え」を目標に掲げていた。

 

さすがに、このハードルをクリアすることはかなわなかったが、実は今回、「長野超え」を果たしたものがある。メダルを手にした競技数だ。

 

長野大会で日本がメダルを獲得したのはスキージャンプ(金2、銀1、銅1)、スピードスケート(金1、銅2)、フリースタイルスキー(金1)、ショートトラック(金1、銅1)の4競技。一方、今回のソチ大会では、フィギュアスケート(羽生結弦=金)、スノーボード(平野歩夢、竹内智香=銀、平岡卓=銅)、ノルディック複合(渡部暁斗=銀)、ジャンプ(葛西紀明=銀、団体=銅)、フリースタイルスキー(小野塚彩那=銅)と5競技で表彰台に立った。

 

夏季五輪でも前回のロンドン大会で、日本勢は、過去最多の38個(金7、銀14、銅17)のメダルを獲得した。出場した24競技のうち、半数を超える13競技でメダルを持ち帰ったのだ。

 

この多様性こそは、日本のスポーツにとっての強みである。そして6年後の東京五輪・パラリンピックに向け、日本が目指すべき方向も、この延長線上にあると私は考える。

 

ただ、自国開催へ最近は「選択と集中」を促す声も強くなっている。先のロンドン五輪、英国はメダルの獲れそうな競技に強化資金を集中的に投入し、29個もの金メダルを獲得した。これは米国、中国に次いで3番目に多かった。

 

これを受け、安倍晋三首相は「英国は人口が日本より少ないが、それでも30個近く(金メダルを)獲った。日本はそれ以上獲らないと……」と発言した。英国の人口が約6000万人であるのに対し、日本は約1億3000万人。総理が発破をかけたくなるのも無理はない。

 

しかし、「選択と集中」と「排除と偏重」とはコインの表と裏の関係にある。ある競技に特化すれば、マイナー競技や未普及の競技は見向きもされなくなる。各競技における格差を生み、健常者スポーツと障害者スポーツをも、さらに分断する流れにつながりかねない。

 

果たして、これが健全なかたちと呼べるのか。もっと議論すべき問題である。せっかくの五輪・パラリンピック開催だ。他国のマネではなく、日本独自のスポーツのあり方を世界に提案する大会であってほしい。