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Columnコラム

2014.06.05ブラジルW杯の光と影

世界中が注目するサッカーW杯ブラジル大会が、いよいよ6月12日に開幕する。
しかし、開幕1カ月を切った段階でも、ブラジル国内では、まだスタジアムの工事を行っている。使用予定の12会場のうち5会場で、まだ作業が完了していないのだ。

 

急ピッチで間に合わせようとするあまり、事故のリスクも高まる。日本対コロンビア戦が行われるクイアバの競技場では作業員が感電死した。スタジアム建設中の事故による死者は8人にのぼるという。

 

会場のみならず、大会中、日本代表が拠点とする施設も宿泊棟が未完成と報じられた。 工事が滞った大きな理由としてインフレによる資材や人件費の高騰が挙げられる。当初、総工費は10億ドル(約1000億円)の予定だったが、なんと36億ドル(約3650億円)にまで膨れ上がった。最終的には40億ドルに達すると見られている。

 

ここまでくればギリギリでも準備が間に合って、大会が無事、成功することを祈らずにはいられないが、”宴の後”には大きな不安が残る。2月~3月にかけて開催されたソチ五輪・パラリンピックの施設は早くも”ゴーストタウン”化していると聞く。

 

ブラジルでは「W杯より、医療や福祉、教育の充実を」との声も強い。”W杯効果”が実感できなければ、2年後のリオデジャネイロ五輪・パラリンピックに対する世論にも影響が出かねない。

 

これは2019年にラグビーのW杯、2020年に東京五輪・パラリンピックを控える日本も反面教師とすべきである。よもや新国立競技場の建設や施設整備が開幕直前までずれ込むことはないだろうが、重要なのは大会をただ開催するだけでなく、そのレガシーを継承することだ。

 

新国立競技場だけでも、可動式の観客席や開閉式の屋根、天然芝を養生するための照明や送風機などが設置されるため、年間維持費は46億円にものぼる見込みだ。これは現国立と比較すれば6倍以上の経費となる。

 

大会後、施設をいかに有効活用するか。よほど知恵を絞らなければ残るのは借金だらけになってしまう。つくってから考えるのでは遅すぎる。”後の祭り”にならぬよう、”祭りの後”を視野に入れた議論を今から始めるべきである。