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Columnコラム

2009.08.10ラグビーW杯成功のために

-2019年、ラグビーW杯がやってくる。

ラグビーといえば、私はフランスで見た、ある試合が忘れられない。

1998年夏、サッカーW杯フランス大会の取材で現地を訪れた時のことだ。
ノルマンディーに住んでいたいとこにラグビーの試合観戦を誘われた。
フランスのラグビーだから、さぞかしレベルの高いゲームが観られるだろうと、
喜び勇んで小さな村の試合会場に向かった。

 

ところが実際に行ってみると、雰囲気が少し違っていた。
目の前では10代の子どもから70代の高齢者までが一緒にひとつのボールを追いかけていたのだ。
出場選手の合計年齢がだいたい500歳になるようにルールを決め、地区ごとのクラブで対抗戦を行っていた。

 

試合の様子に目を凝らすと、おもしろいことに気がついた。
子どもがボールを持つと、まずはどんどん走らせる。
しかし、トライの寸前まで来た瞬間、彼らの親世代のラガーマンがパッとタックルをしかける。
まるで「世の中、そんなに甘くないぞ」と言わんばかりのプレーをみせるのだ。

 

逆に高齢者がボールを持つと、周囲はやさしく包み込むようにタックルする。
相手がケガをしないよう、互いを尊重し、いたわりながらゲームを進める光景はとても印象的だった。

 

さらに盛り上がるのは試合後の打ち上げだ。
「うちの孫はさすがだ。ひ弱だと思っていたけど、ワシの血をひいているだけのことはある。」
ワイン片手におじいちゃんが孫の自慢をすれば、
「うちのおじいちゃんは腰が曲がりかけているけど、タックルしても倒れない。かっこ良かった」と、
孫もおじいちゃんの偉大さに気がつく。こうしてボールひとつで3世代の絆が自然と深まっていくのだ。
果たして日本で、このような風景が日常的に見られるだろうか。

 

-W杯を成功させるためには
何よりラグビーを楽しむ人を増やさなくてはいけない。
残念ながら、この国のラグビー競技人口は年々、低下している。
若年層の育成や代表の強化も大切だが、
3世代で楕円のボールを追いかける機会をラグビー協会はぜひ設けてほしい。
10年は長いようで、意外と短い。

 

 


 

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