Loading...

Columnコラム

2012.09.12五輪とパラリンピックをひとつに

障害者スポーツ発祥の地、英国ロンドンで開催されたパラリンピックは大いに盛り上がった。チケットは史上最多の270万枚が売れ、スタンドは多くの観客でにぎわっていた。ブルータグの所属アスリートでは洞ノ上浩太選手が車いす陸上の5000メートルとマラソンに出場。マラソンでは6位入賞を果たした。

 

今回のパラリンピックで日本勢は金5、銀5、銅6と16個のメダルを獲得した。だが、金メダル数で1位(95個)になった中国は231個ものメダルを手にしている。現場からは「国を中心としたサポート体制の差が出た」との声があがっていた。

 

以前にも書いたように日本は障害者スポーツのトップアスリートがナショナルトレーニングセンター(NTC)を常時、使える状況にはない。パラリンピックに出場した選手らでつくる「パラリンピアンズ協会」(河合純一会長)の調査では、アンケートに答えた選手たちの実に75.6%がNTCを利用したことがないというデータが出ている。背景には健常者の競技団体を所管する文部科学省と、障害者の団体を所管する厚生労働省という縦割り行政の弊害がある。

 

障害者スポーツといってもパラリンピックを目指す選手たちは日々、厳しいトレーニングを積み、国内外の大会に出場する。フィジカルの強化やケアにも積極的に取り組んでいる。その点は何ら五輪を狙う選手たちと選ぶところがない。

 

障害者スポーツに関する事業を手がけるNPO法人STANDの伊藤数子さんは、このほど著した『ようこそ、障害者スポーツへ』(廣済堂出版)の中で、<そもそも障害者スポーツの競技者、特にパラリンピックを目指している選手は、生活の全てをかけて自分たちが情熱を注いでいるものは「スポーツ」であり、自分たちは「アスリート」であるという自覚を持っています>と書いている。

 

韓国には障害者スポーツ用のNTCもあることから、日本にも同様の施設を求める声もある。確かにパラリンピアンの現状を考えれば、ないよりはあったほうがいいだろう。しかし、このことが健常者スポーツと障害者スポーツの間に横たわる壁を温存することにつながりはしないか。五輪とパラリンピックを巡る縦割り行政の弊害も解消されないままになってしまうだろう。

 

私見を述べれば、将来的には五輪とパラリンピックを統一してひとつのスポーツイベントにすべきだと考える。柔道やレスリングに階級分けがあるように、陸上にも車いすの部や義足の部があると捉えればいい。五輪とパラリンピックをひとつに――これが目指すべきバリアフリーの姿である。