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Columnコラム

2012.07.26五輪に参加する意義

「五輪は参加することに意義がある」

 

この有名なフレーズを残したのは”近代五輪の父”、ピエール・ド・クーベルタン男爵と言われている。
だが、事実はどうも異なるようだ。

 

この言葉が生まれたのは104年前のロンドン五輪である。
当時、ホストカントリーの英国と米国は各競技でライバル関係にあり、
米国の選手たちはロンドンの市民から数々の嫌がらせを受けた。
米国選手団に帯同していたペンシルベニアの司教、エチェルバート・タルボットはこの状況を見かね、
選手たちに「五輪では勝利より、参加したことに意義がある」と説いた。
この話に感銘を受けたクーベルタン男爵が、英国政府主催の晩餐会のスピーチで
披露したことで広く知られるようになったのである。

 

そのため、”クーベルタンの言葉”として誤って伝わってしまったのが真相らしい。
そして、この言葉の意味は日本で一般的に捉えられている意味と少し異なる部分がある。
タルボット司教は「参加する」ではなく、「参加した」ことに意義があると話をしているのだ。
つまり、五輪で勝利を目指すことを最初から否定しているわけではない。

 

-スポーツの世界は時に残酷だ。

 

どんなに努力を重ねても、わずかな差で勝者と敗者のコントラストは、くっきりと分かれる。
しかし、結果がどのようなものになろうとも、4年に1度の大舞台へ参加するために積み上げてきたプロセスは今後につながる。
その意味で司教は結果を引きずることなく、「参加した」ことに意義を感じ、前へ進むべきだと言いたかったのではないか。
五輪に臨む選手たちのなかに、始まる前から「参加することに意義がある」と考えている者はおそらくいないだろう。
すべて選手たちは自己記録の更新を狙い、ひとつでも多くの勝利を目指している。

 

 

今回のロンドン五輪、JOC(日本オリンピック委員会)は「金メダル数で世界5位以内」を目標に置く。
4年前の北京五輪で日本は9つの金メダルを獲得し、これは中国(51個)、米国(36個)、ロシア(23個)、英国(19個)、ドイツ(16個)、豪州(14個)、韓国(13個)に次ぎ、8位だった。
過去、日本が最多の金メダルを獲ったのは、1964年の東京五輪と2004年のアテネ五輪(16個)。東京五輪では全参加国・地域で3位、アテネでは5位の金メダル数だった。
今回、この記録を更新すれば、目標のクリアが見えてくるはずだ。
日本からロンドンに渡ったすべての選手たちの好成績を心から願いたい。