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Columnコラム

2016.03.02女子スポーツの環境整備へ

今年は五輪イヤーである。8月からリオデジャネイロ大会が始まる。近年、日本では”女高男低”の傾向が目立つ。2004年のアテネ五輪から金メダル獲得数は3大会連続で女子が男子を上回っている。

 

柔道女子48キロ級で2つの金メダルを獲得した谷亮子は、子供の頃から”男勝り”だった。小学生の頃、地元行われた柔道大会で、谷は男子相手に5人抜きの快進撃を見せた。

 

その中には背負い投げで頭から叩き付けられた大柄な男の子もいたという。「2人くらい頭から落ちて運悪く脳震盪を起こしてしまいました。確か打ち所が悪くて救急車で運ばれたはずです」と谷は振り返った。その頃の柔道と言えば、男がやるものだ。谷に投げ飛ばされた男の子は「なんで女なんかに負けるんか!」と親に怒鳴られ、小さくなっていたという。

 

その谷が悲願の金メダルを手にしたのが2000年のシドニー五輪。女子のメダル獲得数(13)は初めて男子(5)を上回った。女子マラソンで金メダルに輝いた高橋尚子は国民栄誉賞に、同年のパラリンピックで6個の金メダルを獲得した水泳の成田真由美は内閣総理大臣顕彰を受けた。まさに女子アスリートの躍進を象徴するような出来事だった。

 

女子アスリート躍進の陰には、女性の社会進出を後押しした法整備があった。1985年に男女雇用機会均等法が設けられ、1999年には男女共同参画社会基本法が制定された。こうした社会情勢の変化とともに、女子スポーツも盛んになっていった。

 

世界に目を向けると、1994年に女性とスポーツに関する最初の国際会議がイギリス・ブライトンで開かれた。そこで女性に対する差別、不均衡を是正するための行動方針「ブライトン宣言」が採択された。

 

国際オリンピック委員会(IOC)でもこの宣言を受けて、具体的目標を決議した。それは国際競技連盟(IF)、国内競技連盟(NF)、国内オリンピック委員会(NOC)などのスポーツ関係団体における女性役員の割合を2000年末までに10%、2005年末までに20%となるようにすることだ。

 

ところが、現在の日本オリンピック委員会(JOC)加盟の競技団体の役員数を見ると、女性は1割にも満たない。JOCの役員には橋本聖子、高橋尚子、山口香の3人が名を連ねているだけだ。

 

能力もないのに女性だからという理由だけで優遇しろと言っているわけではない。それは男性も同じだ。ただ1割未満という数字は国際的に通用しない。

 

旧態依然とした組織体にも目が向けられるべきである。女性役員の少なさは、指導現場における女子選手への無理解、不寛容、抑圧につながる恐れをはらむ。女子スポーツの環境整備なくして、スポーツ立国なし――。そのくらいの気構えで事に臨むべきだろう。