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Columnコラム

2013.08.25早期英才教育の功罪

男子ゴルフの松山英樹が来季の米ツアーシード権を獲得した。6月の全米オープンでは10位、7月の全英オープンで6位に入り、日本人では史上初となるメジャー大会連続トップ10入りを果たした。今後は米ツアーでの優勝、悲願のメジャー大会制覇へ期待がさらに高まるだろう。

 

そんな松山や石川遼に触発され、ジュニアゴルファーが増加している。この夏休み期間中も各地でジュニアゴルフの大会が開催されていた。少子化の影響で、親の投資に見合った結果を得られやすい個人競技に人気が集まっていることも追い風になっているようだ。

 

「鉄は熱いうちに打て」との格言もあるように、早い時期から競技に取り組むことはアドバンテージとなる。ゴルフ解説者のタケ小山は、そのメリットを次のように語っていた。

 

「小さい頃に始める利点は、一言で言えばゴルフに対する見え方が違う。たとえば、子どもの感覚では大人よりもカップが大きく見えます。

 

カップの幅はゴルフボールが3個入る大きさで、これは大人も子供も変わりません。大人はカップに手を突っ込むとほぼいっぱいになりますが、子どもはまだ余裕がある。だから、小さい時から始めた選手は”カップは大きいからボールは入りやすい”と思うでしょう。”カップって小さいな”と感じる大人とは競技観が全く異なるんです」

 

ただ、早期英才教育が過熱するにつれ、ゴルフ界では新たな問題も浮上している。ジュニア選手を指導しているレッスンプロは声を潜めて、次のように明かす。

 

「親が熱心なのはありがたいのですが、度が過ぎて、かえって子どものスキルアップに悪影響を及ぼしているケースもあるんです。こちらは段階に応じたレッスンをしているのに、親がテレビなどで見たトッププロの高度なテクニックを、家でいきなり教え込もうとする。それで子どもが混乱してしまって、せっかく積み上げてきたことが台無しになってしまうんです……」

 

さらにはこんな驚くような事態も。

 

「実は最近、ジュニアの試合でスコアをごまかして失格になる選手が出てきています。理由を訊ねると、”だって、成績が悪いとお父さんに怒られる”と泣きじゃくる。ゴルフは審判がいませんから、自分で正直にスコアを申告するのが大前提。小さい時からこんなことをやっていると、将来が心配になってしまいますよ」

 

確かに石川選手が10代でブレイクしたのは、父・勝美さんの熱心な指導を抜きには語れない。ゴルフに限らず、若くして成功する上で、家庭環境は大きなウエイトを占める。

 

それゆえに、一歩間違うと熱意が歪んだかたちで表れてしまう心配もある。「親思う心にまさる親心」と昔から言われるように、子どもへの深い愛情は痛いほど理解できる。だが、真の親心には子離れの大切さが含まれていることも忘れてはならない。

 


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