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Columnコラム

2015.03.06豪腕チェアマン、再び

このリーダーにチェアマンという肩書がつくと、難題も一気に解決してしまうのではないかという期待感を抱かせる。

 

日本バスケットボール協会が、国際バスケットボール連盟から資格停止の制裁を受けている問題で、組織改革を主導するタスクフォースのチェアマンを日本サッカー協会の川淵三郎最高顧問が務めている。

 

制裁の大きな原因となった国内のトップリーグが2つ並び立つ現状に、就任からわずか2週間で統合案を提示した。選手や関係者とも意見交換を重ね、メディアを通じて改革案を発信するなど、78歳になっても、そのリーダーシップは衰えるところを知らない。

 

川淵チェアマンといえば、誰もが思い浮かべるのがJリーグの創設である。彼がいなければサッカーのプロ化、すなわちJリーグはなかった。あの時、Jリーグができなければ、日本代表が5大会連続でW杯に出場することもなかっただろう。

 

リーダーにとって、最も求められる資質は何か。理念も人望も大切だが、あえてひとつに絞るなら、行動力ではないか。Jリーグ発足前、プロ化に後ろ向きの意見が続出した時のことだ。

 

「経済状況を考えた場合、プロ化は時期尚早だ」

 

「サッカーのプロ化なんて前例がない。失敗したら、誰が責任をとるんだ」

 

それを聞いて立ち上がったのが川淵チェアマンだった。

 

「時期尚早という人間は100年経っても時期尚早という。前例がないという人間は200年経っても前例がないという」

 

この一言に反対派は皆、押し黙ってしまった。私はこの名演説こそが、プロ化への流れを一気に加速させる契機のひとつになったと考えている。

 

川淵チェアマンの手法には「独断専行」との声もある。今回出されたバスケのリーグ統合案も、関係者が諸手をあげて賛成しているわけではない。

 

だが、彼は決してひるまないだろう。Jリーグチェアマン時代も、思いついたプランを即行動に移すやり方に批判が出ると、「やれ、手続きがどうだとか、一度決めたことなんだから、と理由をつけては判断を後回しにする組織は潰れる」と喝破していた。

 

大事なのは”机上の空論”よりも”地上の正論”だ。口先だけで、あれこれあげつらうなら誰でもできる。矢面に立ち、背中で引っ張らなければ、大事はなしえない。不可能を可能にするのが本物のリーダーシップである。