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Columnコラム

2016.11.07五輪開催を健康促進のきっかけに

東京オリンピック・パラリンピックの開催が4年後に迫っている。前回、東京でオリンピックが行われたのは1964年、昭和39年のことだ。高度成長期の真っ只中、日本は右肩上がりの経済成長を続けていた。

 

64年9月に首都高速環状線が開通し、10月には新幹線(東京-新大阪間)も運転を開始した。海外からのゲストに「戦後復興」をアピールするために、社会資本整備もオリンピックに合わせて急ピッチで進められたのだ。街は働くオジサンたちで活気にあふれていた。

 

「今日も元気だ たばこがうまい!」
昭和30年代~40年代に日本専売公社は、こんな広告を展開していた。JT(日本たばこ産業)の統計によれば、当時は成人男性の8割以上が喫煙者だった。現在の喫煙者数は成人男性の3割程度にまで減少した。経済状況だけでなく喫煙状況も当時と今ではまったく違っている。

 

10月12日、厚労省は新しい受動喫煙防止対策案を発表した。病院、小中高校は敷地内禁煙、スタジアムなどは建物内禁煙。ホテルや飲食店などのサービス業は原則禁煙となり、喫煙は完全に仕切られたスペースだけで許可される。違反した施設の管理者、および喫煙者には罰則を科す、としている。

 

国会へ法律案の提出など具体的なスケジュールは未定だが、20年オリンピック・パラリンピック、その前年に開催される19年ラグビーW杯に向けての取り組みであることは言うまでもない。

 

世界保健機構(WHO)と国際オリンピック協会(IOC)は、「たばこのないオリンピック」を共同で推進している。12年ロンドンは建物内禁煙、先のリオは敷地内禁煙、18年に開催予定の平昌も原則建物内禁煙(飲食店は喫煙室設置を許可)と、受動喫煙対策がとられた。

 

WHOの統計によれば世界49カ国において、公共の場での喫煙には何らかの法規制がされている。翻って日本の場合、「努力義務」にとどまり、「受動喫煙防止策」は十分とはいえないのが実情である。厚労省では「(2019年、2020年までに)他の開催国と同水準とする」としているが、果たして間に合うのか。

 

団塊の世代が75歳以上になる2025年、医療・介護費は現在の1.5倍の74兆円に膨らむ見通しだ。介助を必要としない健康寿命を、いかに延伸させるか。 喫煙対策も重要な要素である。オリンピック・パラリンピックを国民の健康を考えるきっかけにしたい。