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Columnコラム

2012.11.26Jリーグ20年、新たなステージへ

Jリーグが2013年度から「クラブライセンス制度」を導入する。安定的なクラブ経営を促すため、財務基準と しては債務超過や3期連続赤字のクラブにはライセンスが交付されず、Jリーグに参加できない。

 

また同制度はJ1とJ2に分かれており、たとえばJ2のクラブが順位的にJ1昇格の要件をみたしたとしても、J1ライセンスを取得できていなければ、翌シーズンも同じカテゴリーで戦わなければならないのだ。

 

ちなみにクラブライセンス制度発祥の地はドイツである。ブンデスリーガでは01年に、収入以上の支出は認めないという方針を明確にした。その主な目的はクラブ経営の透明性の確保だった。これにより無謀な補強は影を潜め、クラブ間の戦力格差も是正された。極端に強いチームや弱いチームが減れば、拮抗したゲームが多くなる。

 

こうした改革が実を結び、ブンデスリーガの昨季の1試合平均観客動員数は約4.5万人を記録した。同リーグの観客動員数が欧州5大リーグ(スペイン、イングランド、ドイツ、イタリア、フランス)でトップに立っているのは、改革の果実と言っていいだろう。

 

Jリーグがブンデスリーガを手本にしていることは間違いない。「身の丈に合った経営」とは初代Jリーグ チェアマン川淵三郎氏がよく口にしたセリフだが、制度化したことで、努力目標から義務になったと言えよう。

 

クラブは永続的なものである。未来永劫、その地域に根差すことを前提としている。Jリーグがクラブの健全経営にこだわるのは、過去に”過ち”を犯しているからだ。

 

1998年秋、Jリーグは激震に見舞われた。横浜フリューゲルスの出資会社である佐藤工業の撤退を受け、フリューゲルスが横浜マリノスに吸収合併されてしまったのである。

 

経営が悪化したことで、下のカテゴリーに転落した例はヨーロッパでも珍しくはない。しかし、オーナー企業の都合だけでクラブが合併したという話は寡聞にして知らない。

 

ただでさえ、同じ都市、同じ地域を本拠とするクラブはライバル意識が強く、ためにダービーマッチとして盛り上がる。もし経営が悪化したという理由だけで合併に踏み切れば、それこそサポーターが暴動を起こしても おかしくない。ところが、まだサッカー文化の根付いていなかった日本では、白昼堂々とこんな愚行がまかり通ってしまったのだ。

 

今年はJリーグが誕生して、ちょうど20周年にあたる。フリューゲルスショックのような不幸な出来事はあったものの、地域密着の理念は浸透し、それはプロ野球にまで伝播していった。そして、今回のクラブライセンス制度の確立。まだまだ紆余曲折はあると思われるが、長い目でリーグの今後を見守りたい。