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Talk Vol.5

スポーツが繋ぐ無限の可能性 (下)

ゆるスポーツ
コピーライター/プロデューサー 澤田智洋

スポーツが処方箋

今矢:そういうことですよね。今まで響かなかった人たちにどう響かせるかと。競技普及以外にもゆるスポーツを使ってやっている試みはありますか?

澤田:最近は介護施設などに、リハビリの代わりになるスポーツを提供しています。「ゆるスポヘルスケア」というプロジェクトで、「トントンボイス相撲」「こたつホッケー」「打ち投げ花火」の3種目を創りました。「トントンボイス相撲」は声で力士を動かします。発声するとリハビリになります。「こたつホッケー」はテーブルにデジタル映像化したコートやパックでプレーするデジタルホッケー。腕の伸縮運動になります。「打ち投げ花火」は天井に映し出された的へ風船を当てるスポーツです。こちらは腕の上下運動に繋がります。どれも単調なリハビリだと続かないので、スポーツにしようと考えたんです。

今矢:リハビリのメニューがいくつかあるんですね。

澤田:そうですね。移動式サーカスみたいに、僕たちがスポーツを持って行くという感じです。ただ結構デジタル系が多く、コストがかかるので、アナログ系スポーツを創る重要性も感じています。

今矢:もし継続的に行うには施設に導入してもらわないといけないですもんね。

澤田:最近ですとスポーツに限らず、「ゆる体操」も多く開発しています。例えば21世紀型のラジオ体操「ざっくり体操」というものがあります。ファシリテーターは、ざっくりとした指示だけ出すんです。「はい、肩~」「はい、回して~」「はい、ゆっくり~」などなど。それに対して、「肩」と言われれば、各々の解釈で、回してもいいし、ねじってもひねってもいいよと。当然全員の動きが揃わないですが、それがいい。

二宮:でもやらされている普通の体操ではなくて、自分で考えることで頭の体操にもなりますよね。

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今矢:周りを見るとまた得られる情報があるんでしょうね。

澤田:そうなんです。お年寄りで足が動かない方は屈伸ができなくても、ざっくりとした指示ならそれなりにできることはあります。要は自由度をある程度あげることで、「自分だけできない」という負の感情を逃しています。

二宮:一口にスポーツとは言っても1位を狙うエリートスポーツばかりではない。定義は少しばかり曖昧にした方がいいかもしれませんね。

澤田:スポーツは超多面体だと思っていて、僕らが見ている面って限られているんですが、裏側を覗いてみたらいろいろな顔がある。それがすごく面白い。例えば僕らはスポーツを「楽しい新薬」と捉えています。それは、フィジカル、メンタル、ソーシャルの症状を解消してくれる新薬。そこで、ゆるスポーツを薬のように処方する施設を作りたいと思っています。「スポーツホスピタル構想」というプロジェクトとして走り始めています。

今矢:それは面白いですね。

澤田:例えば、スポーツを処方するドクターをアスリートにお願いすれば、セカンドキャリアにも繋がるかもしれない。患者さんも、別の患者さんのために新しいスポーツを創ってもいい。いろいろな関係が生まれるといいなと。スポーツを通じた「関係創生」ですね。関係を創生するにあたっては、スポーツが適しています。人と人の距離を短時間でぐっと縮めてくれる。本当にスポーツはすごい。僕にとってスポーツは世界で一番苦手なんですが、世界で一番尊敬しているものでもあります。

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澤田智洋 (さわだ ともひろ)

1981年7月14日生まれ。コピーライター/プロデューサー。スポーツや福祉のビジネスプロデュースを多く手掛ける。世界ゆるスポーツ協会代表。義足女性のファッションショー「切断ヴィーナスショー」のプロデューサー。『R25』で漫画「キメゾー」連載中。