Loading...

Talk Vol.15

四国に秘める無限の可能性(下)

IBLJ取締役会長
森本 美行 氏

地域活性化の起爆剤に

【地域活性化の起爆剤に】

二宮: NPBの延長戦上にないような独自スタイルがあれば魅力的ですね。

森本: 愛媛県は正岡子規に代表されるように、ある意味、野球発祥の地ですから、それぐらい思い切ったことをやってもいいんじゃないかと思っています。

 

今矢: MLBのロサンゼルス・ドジャースもベンチャー企業に出資したりしています。アイランドリーグとしてもデータやテクノロジーを駆使してベースボールを変えるような新興企業に出資する動きはあるのでしょうか?

森本: 直接投資ではないものの、それ似た戦略を去年からやっているんです。データの仕組みは野球のシステムについては僕もデータスタジアムにいましたから、わかるんですが、本当にデータベースから整備して良いものをつくるには開設費用が数億円かかるんですよ。今回、その基礎技術があるものの使いどころがない企業にお願いし、まるで新しい野球データシステムを我々が現場の意見や希望を集約する形で開発してもらいました。1球1球の情報をデバイスに打ち込めば、ネットでリアルタイムにデータが見られるだけでなく、誰もが野球の試合時につくっている手書きのスコアブックと同じものがデジタル化され、生成される。紙のスコアブック同様のものをつくるのは結構大変で、そのためには新聞の組版システムの応用が必要になります。その開発を行ったaiSports社のアプリはあちこちの野球チームから引く手数多の状態です。現状のアイランドリーグではスポンサーが広告宣伝費を出してもらうのは簡単ではありません。しかし、我々の活動の場を利用して新しいサービスをつくるための研究開発費ならまだ可能性がある。だから「僕らはうまく実験台として使ってください」と、リーグ経由でサービス化のスキームで売り出すこともできると思うんです。

今矢: そのテクノロジーはリーグが所有しているのでしょうか?

森本: 基本的には開発者ですが、一部リーグも所有できるように話しています。

今矢: なるほど。それをライセンス提供すれば、リーグの収益拡大につながりますね。

森本: はい。今はさらに開発が進んでいます。音声による入力です。スコアブックを記入するにしても、データを打ち込むにしても作業は大変ですが、音声入力が可能になればかなりの手間を省くことができます。開発部隊がラジオ中継を元に試したことがあるそうなんです。ラジオの実況放送では試合で起こったことの95%の事象を言葉にしていることがわかりました。つまり中継の傍に音声入力のできるデバイスをセットしておけば、自動的に公式記録が作成され、かついろいろなコンテンツに活用できる。例えばユーザーが知りたいデータをすぐに引き出すこともできるはずです。スポーツデータやコンテンツ制作、分析はAI(人工知能)と相性が良いと思います。ERP(統合基幹業務システム)で世界最大手のSAPという会社はサッカードイツ代表の2014年ブラジルW杯優勝に貢献した実績があり、企業にとっても自分の技術のプロモーションに大いに役立っています。

今矢: すでに「SAPのテクノロジーはすごい」というブランディングができてきていますよね。

森本: だから僕らもデータをうまく使い、リーグの価値を違うかたちでアピールしています。まだまだ無限の可能性を秘めていて、実は今も面白いメンバーや会社、大学が興味を持ってアイランドリーグが行っているプロジェクトに協力していただけるような動きもあるんです。すごい期待感がありますね。

二宮: ちょうど面白い時期に差し掛かっているわけですね。

森本: まぁ大変な時期でもあります(笑)。四国は、野球に限らず他のスポーツチームも必ずしも上手くいっているとは言えません。県によっては他のスポーツとも手を組むかたちもありかなと。例えば新潟アルビレックスのようにひとつのスポーツクラブとして複数のスポーツチームを運営するかたちがあっても面白いのかなと思いますね。

二宮: 四国のスポーツを統括する社団法人のような組織ができれば、そういった動きが加速するかもしれませんね。

森本: そうですね。最近はJR四国の新幹線構想がある中で、経済界と自治体が顔を合わせる機会が増えてきていると聞いています。そこにスポーツを絡ませて、地域の活性化に関わっていくことができれば面白い地域のモデルになるかなと思っていますね。

今矢: 四国にSportfulな環境が整備できればいいですね。思うに島としてのポテンシャルは高い。野球、サッカーだけでなく自転車やトレイルランも盛んですからね。

二宮: おっしゃる通りです。愛媛県と広島県を繋ぐ、しまなみ海道は自転車の聖地化していますよね。高知県にはサーフィンのメッカもあります。

森本: そうなんですよ。四国のある地域にイングランドプレミアリーグのクラブがアジアのアカデミーをつくれないかと水面下での動きもあります。地域性、教育機関、経済状況などいろいろな課題を抱えている四国は、その課題解消のために様々な施策を考えている。そういった点でも四国はポテンシャルがある。四国のローカルスポーツがグローバルブランドと繋がり、更に世界が広がりそうな感覚があります。例えばテニスの錦織圭選手が育ったIMGの日本版みたいなものが四国にできるようなことがあれば、スポーツを通してもっと地域が活性化すると思いますし、僕はその可能性に期待しています。

森本 美行 (もりもと みゆき)

1961年生まれ。85年に成城大学卒業後、株式会社日本旅行に入社。92年アメリカ・ボストン大学経営大学院でMBAを取得。2000年アメリカ・アジアコンテントドットコム株式会社の日本法人における社長兼CEOを務めた。03年にはスポーツデータの分析・配信を行うデータスタジアム株式会社の社長、会長を歴任。16年よりプロ野球独立リーグ・四国アイランドリーグPlusを運営する株式会社IBLJの代表取締役社長に就任し、今年3月からは同会長を務めている。