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Talk Vol.18

育成重視の独自路線(上)

K-1 プロデューサー
宮田 充 氏

草の根活動が大事

二宮清純: K-1と言えば1993年にスタートしたヘビー級中心の興行をイメージする人も多いと思います。その後、WORLD-MAXという中量級に軸足を移していきましたが、これまでのものとは別物と考えて宜しいのでしょうか?

宮田充: はい。我々は2013年から準備をして、翌年にアマチュア大会を開催しました。その年からK-1ジムを展開していき、11月に興行「K-1 WORLD LEAGUE」(後にK--1 WORLD GPに改称)をスタートしました。我々は格闘技イベント開催だけでなくジムの運営、アマチュア大会の定期的な実施というピラミッドの形をつくっています。K-1ジムからプロになる方も輩出していますし、スポーツとして親しんでもらえる方にも場所や機会を提供できています。

二宮: 新生K-1はアマチュアも入れて底辺の拡大を図るのが、以前との違いだと?

宮田: そうですね。K-1甲子園というかたちでアマチュアの全国大会「K-1甲子園」は行われていましたが、より草の根の活動を行っています。

今矢賢一: それまではピラミッドにおける上の部分を主にやっていたということですね。

二宮: サッカーで言えば、ユース世代、ジュニア世代があってのトップチームということですね。そういう正三角形をつくりたいと?

宮田: はい。過去のK-1はヘビー級をメインにMAXという中量級、63kg級と最終的には3階級までは広げたのですが、それぞれの体格に合った階級がある。だから我々のK-1では全8階級(スーパー・バンタム、フェザー、スーパー・フェザー、ライト、スーパー・ライト、ウェルター、スーパー・ウェルター、ヘビー)まであります。スーパー・バンタムの55kgから2.5kg刻みでスーパー・ウェルターの79kgまでリミットがあり、無差別級がある。

二宮: 日本人でヘビー級を育てるのは容易ではないですね。

宮田: 昨年11月に開催した初代ヘビー級王座決定トーナメントには日本人4選手と欧米の4選手が出場しましたが、日本人で初戦を勝利したのは上原誠選手だけ。彼のベスト4が日本人最高です。準決勝では1ラウンドKO負けだったので、世界との差は感じました。まだまだこれからですね。

【チケットの価値向上目指す】

二宮: 過去のK-1は外国からヘビー級選手を連れてきて、華々しいカードを組み、テレビ放映権料を得るビジネスモデルでしたが、それとは違う路線でいくと?

宮田: そうですね。AbemaTVさんだったり、CSのGAORAさんが中継していただいております。深夜でフジテレビ、テレビ東京で関連番組も含め放送していただいています。ただそれがなくても運営を回していけるようにしたい。最初は4000人規模の代々木第二体育館でスタートしましたが、2020年東京オリンピック・パラリンピック開催の関係で同体育館は改修工事に入りました。そのため昨年からはさいたまスーパーアリーナのコミニティアリーナ(8000人規模)で3回行いしました。そして今年3月21日に1万5000人規模のメインアリーナでの開催。新生K-1をスタートして4年かかって、メインアリーナになんとか辿り着いた。それは選手の成長と共に僕らも大きくなっている。1年目でメインアリーナは厳しかったと思いますが、今回はチケットも順調に売れています。

今矢: それはすごいですね。Jリーグでも1万人以上を呼べないクラブもありますからね。ホスピタリティのようなものは?

宮田: そこは他のプロスポーツを見習っていきたいと思っています。現在は一番高い席で非売品を贈呈するぐらい。例えばプロ野球はそういうサービスが充実している。僕らはまず今できる一番いいカードを結集するという状況です。ホスピタリティにおいてはまだ勉強中です。

二宮: チケットの価格設定は?

宮田: 10万円、5万円、3万円、1万2000円、8000円、6000円ですね。後楽園ホールで開催しているKlushだと1万5000円、9000円、7000円、5000円です。当然、会場の規模で設定も変わっていきます。

今矢: 後楽園は後方の席でも近く感じますからね。海外ではVIP用にゲートや行けるエリアが違う。観戦席以外に食事を楽しめるスペースもあります。グループで楽しまれる方には観戦以外の要素も膨らませていかなければなりませんね。

二宮: 試合の合間に「ちょっと1杯」というのもいいでしょうね。

宮田: 現状でグッズ販売は力を入れているのですが、1枚のチケットでどれだけ楽しめるのかを考える必要もあるでしょうね。さいたまのメインアリーナは広いので、いろいろな楽しみ方を提供できる可能性がある。

二宮: 大相撲のマス席のように複数名用で飲食付きのチケットを販売するというアイデアもありますよね。

宮田: さいたまはリングから離れた場所にVIPルームはあるんですが、ソファー席でモニターを観ながら試合を楽しむ。企業さん向けには販売しているのですが、プロ野球の席割も昔と全然違いますよね。そういう選ぶ楽しみがあるんだなと感じています。

今矢: 会場から離れた場所にゆったりできるラウンジスペース。区画単位でチケットを買ってもらう場合は、専用スタッフを用意すれば、お客さんをその場にいながらサービスを提供できる。すごくニーズがあると思いますし、訪日したアジアの富裕層はそういう環境で観たいと思うんじゃないでしょうかね。また自国の選手が出ていれば、応援にも熱が入り、より盛り上がれる。

宮田: 今は中国の選手も力を付けてきていて、昨年ライト級でチャンピオン(ウェイ・ルイ)が誕生しました。欧米の選手を含め、外国人スターが出てくると、さらに盛り上がると思います。

<Vol.19に続く>

宮田 充 (みやた みつる)

1968年3月6日生まれ。高校卒業後、全日本プロレスを経て、全日本キックを主催するオールジャパン・エンタープライズに入社した。2009年、全日本キックの解散に伴い、Krushを主催する株式会社グッドルーザーを設立し、代表を務める。格闘技プロモーターとして実績を積み、16年よりK-1プロデューサーに就任した。