2020年3月15日
4月に予定されていたボストン・ロンドンマラソンの9月、10月への延期が決定した。これによって、現在定められている選考期間内に2つのレースが行われることがなくなり、今後の国枠獲得ならびに選手選考も様々な変更への対応や調整が必要となってくるだろう。
先月掲載した「フェアで透明性ある選考基準を」で触れたロンドンマラソンで併催されるワールドカップに関する選考基準について、直接主催者への確認を取り、正確な情報を取得することができた。
「フェアで透明性ある選考基準を」http://bluetag.jp/opinions/volume1/
結論としては、「ワールドカップに国代表として出場する選手のみ」が対象となり、「ロンドンマラソンに出場するエリート招待選手は、対象とならない」、という判断をしていることが分かった。
具体的には、次のような結果となった場合に、どのような判断がされる選考基準となっているのかを、World Para Athleticsに確認した。
仮に、2020年4月開催(開催予定だった、となってしまったが)のロンドンマラソンならびにワールドカップ(同時開催)で、車いす男子の順位が下記のようになった場合に、どの国に出場枠が与えられるのか? という確認をした。
1位〜4位が、昨年のトップ4と同じ(つまり、既に彼らは出場権を取得しているので、今回のワールドカップで与えられる、「トップ6の中の上位2名」の対象とならない)。
5位と6位が、ロンドンマラソン招待選手(ワールドカップに国代表としての出場はしていない、または国代表として、該当国からの派遣がされなかった選手)
そして、7位と8位に、ワールドカップ出場選手として、該当国から派遣された選手、
という順位でフィニッシュした場合、どうなるか。
同じスタートタイムで、同じレースを戦ったロンドンマラソン招待選手を除外しなければ、トップ6の上位2人は、5位と6位に入った選手となる。
仮にロンドンマラソン招待選手は、選考対象とならない場合には、トップ6に該当者がいないのでどの国にも枠が与えられない、ということも考えられた。
そして、ロンドンマラソン招待選手は、そもそも順位としてもカウントしない(ワールドカップにおける選考順位としてカウントしない)場合には、7位と8位の選手が、ワールドカップにおける上位5位と6位となり、2枠の割り当てがされる。
そして今回のWorld Para Athleticsの正式な回答は、7位と8位の選手が、トップ6の上位2名として枠が与えられるというものであった。
上記は、ロンドンマラソン主催者から招待選手へ、ワールドカップ併催の話があった際に、数回に渡り確認していた事項とは異なる回答であった。
まずは、前回の情報掲載時点で私が確認できていた内容について、誤りがあったことをお詫びしたい。そして、正確な情報の確認に時間を要した点についても、申し訳なく思う。
今回の新型ウィルスの影響で、選考対象となる大会が延期となってしまった今、今後どのような選考プロセスとなるかは早々に公開されることを願っている。
そして、今回のような、複雑で、フェアで透明性があるとは言い難い選考プロセスとならないよう、次のような改善がされると良いのではないか。
まず、ワールドカップの主催者であるWorld Para Athleticsとしては、世界陸上が開催される都市で、他の競技と同様にマラソン競技も実施することを期待したい。以前はそのように開催をされていたわけであるから、できない理由はないはずだ。様々な諸事情があるのだろうが、マラソン競技だけロンドンマラソンと併催するような処置は、主催者としての無責任さと努力不足を感じる。
次に、日本パラ陸上競技連盟で、ワールドカップ出場選手を3名しか派遣しなかった点についても、何を根拠にそのような判断となったのかは、不明点が残る。出場枠が6名まで増えた場合には、その活用もできるような発表を事前にしていただけに、残念な判断である。
3名しか枠を使わず、そのうち1名は既に国枠と出場権利を取得している選手であることから、国としては、出場枠獲得と、出場可能性のある選手に対しての「選択肢」を無くしてしまった結果となった。現在のパラスポーツ全体と車いすマラソン競技の置かれている環境を考えると、出場枠は最大限活用する、選択肢は最大限増やす方針のほうが、競技全体の発展に繋がるはずだ。
車いすマラソンは、ここ数年で次のステージに進み始めている。
先日の東京マラソンでは、男女ともにコースレコードが更新された。
男子の車いすマラソンでは、上位10名近くのスプリントフィニッシュとなるようなレースにまで選手層が厚くなってきたが、さらにもう1段階、レベルが上がっていく移行期に入ってきている。
現在の世界記録は、スイスのハインツ・フライ選手による1時間20分14秒。最近の選手層の厚さやカーボン化による最先端レーサーなどが出るもっと昔の記録だ。
つまり、レース中の駆け引きや最後のスプリント勝負、といったレース展開が多くなってきていた。
但し次のステージは、80分切り(1時間20分)、スタミナ勝負のマラソン競技の時代になると思う。
パラスポーツの魅力や可能性を伝えていくにも、まずはフェアで透明性があり、シンプルなルールや選考基準が必要である。
そして、ボストン・ロンドンマラソンだけでなく、国内外の多くのイベントが中止、延期という判断をせざるを得ない現状が、1日も早く改善することを望んでいる。
先日、コロナウィルス感染拡大の影響から、無念にも中止の決まった春のセンバツ高校野球大会。
この中止にあたって桑田真澄さんが、次のようなコメントをされていた。
「感染者や医療従事者など、当事者の方々を思いやるとともに、スポーツは世の中が平和であってこそできるものだと学んでほしいです。」
これは、どのスポーツにも言えることであり、平和の大切さを学ぶ機会であり、そのような社会を目指すために、アスリートやスポーツが出来ることを、改めて考え、行動できる時間にしたい。
大国同士が、ウィルスの感染源について言い争いをしたり、国民同士が、消費量が変わるわけでもないトイレットペーパーの買い争いをしたり、残念なニュースも流れているが、平和とは誰かから与えられるものではなく、自らが創造していくものである。それぞれの立場で出来ることから、正しいアクションを取っていきたいと思う。
危機をどう捉えるか。下記はJFKの素敵なメッセージだ。
When written in Chinese the word “crisis” is composed of two characters – one represents danger and the other represents opportunity.
John F. Kennedy
