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September 3, 2018
Sportsful Talk 第11回(ゲスト:西村雄一さん) 2018.9.3 スポーツジャーナリスト二宮清純氏とブルータグ代表取締役の今矢賢一が、毎回多彩なゲストを招き、スポーツの今を読み解く”Sportsful Talk”。 サッカーの2010年南アフリカW杯、14年ブラジルW杯と2大会連続でレフェリーを務めた西村雄一氏をゲストに迎え、Jリーグで9年連続最優秀主審賞に輝いている西村氏が語るレフェリーの現状ついてお話いただきました。 VARはフェアな選手が守られるシステム
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Talk Vol.24 VARはフェアな選手が守られるシステム 2010年・14年FIFAワールドカップレフェリー 西村 雄一 第11回のゲストはサッカーの2010年南アフリカW杯、14年ブラジルW杯と2大会連続でレフェリーを務めた西村雄一氏です。Jリーグで9年連続最優秀主審賞に輝いている西村氏が語るレフェリーの現状とは――。 【必要なのは勇気と誠実さ】 二宮清純: 今年のロシアW杯はビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)が導入された最初のW杯となりました。西村さんはどんな感想をお持ちですか? 西村雄一: 間違ってしまった判定を訂正できるというのは、レフェリーとしてすごくありがたいなと思いました。 今矢賢一: 非常に助かるシステムだと。 西村: ええ。なぜかと言うとレフェリーチームは好き好んで間違えようと思っていません。精一杯努力した結果の判断が間違えてしまった。それを映像で確認し、訂正できるというツールはとてもありがたいですね。 二宮: 例えばフランスとクロアチアとの決勝でのPK判定は物議を醸しました。1対1の同点の場面でボールがクロアチアのイヴァン・ペリシッチの手に当たった。レフェリーが映像を確認した結果、ハンドリングの判定が下され、フランスにPKが与えられました。映像で確認すれば確かに手には当たっています。ただレフェリーも相当迷っているふうに見えました。 西村: サッカーの場合、判定をレフェリーの主観に委ねることが大前提となっています。そのレフェリーの主観が多くの人に受け入れられるかどうか難しい場面もあります。それはVARを採用しても同じだったのでしょう。このケースは、VARがよく機能してレフェリーからは見にくい角度だったけどよくハンドリングだと判定できたという前向きな意見とともに、厳しい判定だったという批判もあります。一方、ハンドリングと判定しなかった場合は、VARで確認したにもかかわらず見逃されたと、どちらの判定をしても議論になっていたと思います。 二宮: 西村さんもW杯で2大会レフェリーを任されました。判定後のことは考えますか? 西村: ジャッジを下した後の世間への影響は一切考えていません。正直に言えば考える余裕がないですね。私の時はVARがなかったので、自分の目から見た事実に基づいて判断していました。私がレフェリーを務めた4年前のブラジルW杯開幕戦、ブラジル対クロアチアでのPKのシーン。クロアチアのデヤン・ロヴレン選手がブラジルのフレッジ選手を倒した場面で私が見た事実は、ホールディングによって、ボレーシュートの体勢が崩れてしまった。フレッジ選手の大袈裟なリアクションは、後ろから掴まれたことが原因だと見極めました。その後、こんなに大騒ぎになるなんて全然考えてもいなかったですね(笑)。 二宮: なるほど。 西村: 逆にホールディングはあったけれど、あのぐらいならとファウルとしないと判断した場合は「レフェリーがPKを見逃した」と言われ、能力不足を問われることになります。レフェリーは、自分が見た事実に向き合う勇気を持たないといけないですね。 今矢: ポジショニングが非常に重要ですね。 西村: そうなんです。まずは確認できるポジションにいることが重要です。そこで、見えたにもかかわらず見なかったことにして、自分に嘘をつくのであれば笛は置いた方がいいですね。レフェリーは正直さが必要。自分の決断、見たものを“こう見えた”とやり切る自分自身への勇気がとても大切です。 二宮: あとは誠実さですか? 西村: おっしゃる通りです。誠実さがないと選手との信頼関係は築けません。VARがあろうがなかろうが、そこは不変だと思います。   【ジャッジが難しいハンドリング】 二宮: とりわけハンドリングの判定については故意なのか、そうでないかの判断は非常に難しい。 […]
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